コロナからの復興企画~関西演劇を広める、広げる

関西えんげき大賞

高校演劇の今 HPF2026 大阪高校演劇祭 VIEW:26 UPDATE 2026.05.18

高校生の演劇熱、HPFに極まれり

HPF(大阪高校演劇祭の略、以下HPFと表記)は、大阪の高校演劇独自の取り組みにより始まった30年を超える歴史を持つ演劇祭で、一日劇場を借り切って、仕込みから場当たり、リハーサルから本番、客出し、そして片付けまでを1日で全て行う、いわゆる「のりうち」の形式で行われます。同じ劇場で数校が共通の仕込みで行う演劇祭とは、「その日の上演校のための劇場の仕込みになっている点」、「観客はその日の上演校だけを観に行く点」が異なります。一方で、その点にHPFの大変さが凝縮されているとも言えます。スタッフの方が全面的にサポートしてくれるとは言え、全ての仕込みを自分たちでしなければなりません。朝早くから劇場に入り、上演後お客様を送り出してから、片付けをして、常設の状態に戻して、遅い時間に劇場を出ることになります。もちろん当日の仕込みだけではなく、プランニングからスタッフの方に説明するための資料作りも自分たちで行わなければなりません。またそれぞれの会場によって定員があるものの、客席をできるだけ埋めるために、制作的な作業も行います。公演の日程が決まった日から、SNSなどを駆使しながら宣伝活動を行い、パンフレットを作成し、学校内では友人や先生方、学校外ではご家族や一般の方たちに対して、一人でも多く劇場に足を運んで頂けるようにお願いをします。梅雨に入る頃からHPFの公演が終わるまで、HPFに参加する高校の演劇部は、さながら「劇団」の様相を呈してきます。6月中旬から7月上旬には多くの学校で定期考査が行われます。顧問の先生は、テスト作成や採点、成績処理、保護者との面談に追われる、1年の中でもいわゆる忙しい時期にあたります。そんな忙しい時期に行われる演劇祭にも関わらず、HPFは、大阪の地で、コロナ禍の1年を除き、高校演劇の中にあって特筆すべき活動を30年以上連綿と紡いできました。それは日常の忙しさをHPFで上演することの魅力が上回っているからだと思います。2026年度のHPFは16校(14上演団体)が日替わりで14日間に渡って上演をします。14の上演団体のうち、2つが合同チームでの参加となります。これは部員が少なかったり、HPFへの参加の経験がなかったりということでなかなか参加を思いとどまっていた学校が、他校と協力することで参加を決意してくれた結果です。少子化や顧問不足といった高校演劇の状況下にあって、他校と協力することで上演を可能したり、顧問の仕事を分担したりできるという新たな取り組みもHPFを通じて発信していけるものと考えています。また初めてHPFに参加する初参加校や、顧問の転勤や部員の減少によって一度は参加を中断されていたが今年から復帰された再参加校が7校もあります。例年新たに参加される学校が1~2校であることを考えると非常に多いと言えます。新たなラインナップがずらりと並んだHPF2026の開幕が今から待ち遠しいです。初めての参加となった演劇部や、数年~十数年の長期間参加をしていなかった演劇部にとって、HPF参加のハードルは低くはなかったことが想像されます。そのハードルを乗り越えて参加するきっかけとなったのは、きっと生徒たちの演劇に対する熱意だったはずです。3年間しかない高校生活を、より輝く時間にしたいという高校生の熱意は、先日行われた第1回参加校会議でひしひしと感じました。しかし、生徒たちの背中を押したのは、演劇にどっぷりと浸かる夏を生徒たちと過ごす決意をして下さった演劇部顧問の先生であったのは間違いありません。部活動の顧問を務めるだけでも大変な今の時代にあって、自分たちのテリトリーでできる校内公演でもない、記録に残る演劇研究大会(コンクール)でもないHPFという演劇祭に、今年度も多くの参加校を迎えることができました。だからこそ、私は声を大にして高らかに述べたいと思います。
“大阪の高校生の演劇熱、演劇部顧問の先生方の熱意と懐の深さは大したものだ”

HPFならではの演劇表現

文の冒頭でHPFの特徴の一つに、劇場を借り切って、自分たちで照明・音響プランを立てて仕込む点をご紹介しました。HPFでは役者だけではなく、1日のスケジュールを管理して安全に公演を行うために舞台を仕切る舞台監督の役割や音響や照明のプラン作成、機材の操作まで生徒たちで行います。HPFで行われる上演は、お客様が劇場に入って観劇し、観劇を終えて劇場をあとにするまで、目にするもの触れるもの全てに高校生が関わっています。無事に幕が開き、幕が降りる、その裏側には、数えきれないほどの努力とドラマが詰まっています。上演後に喜んで下さったお客様の顔を、足取り軽く笑顔で劇場をあとにするお客様の後姿を、上演校の生徒たち、顧問の先生方は、きっと万感の想いを持って見ているはずです。

HPF2026は7月19日(日)~8月3日(月)までの日程で、一心寺シアター倶楽、吹田市文化会館メイシアター 中ホール、大阪ビジュアルアーツ・アカデミー スペース ZEROの3会場で行われます。一心寺シアター倶楽は、160名ほどの定員(以下に記す定員はHPF公演として設定されているものです)で3会場の中ではちょうど中規模の劇場です。奥行きのある円形舞台は切り取り方次第で長方形にも見えます。さらにギャラリーもあり、上演校の工夫次第で、様々な舞台に変化をします。吹田市文化会館メイシアター 中ホールは3会場中最大の規模で、定員は400人を超えます。広い空間と客席を埋めるために全力で立ち向かう高校生の無限の可能性を是非楽しんで頂ければと思います。大阪ビジュアルアーツ・アカデミー スペース ZEROは劇場の定員は85名ほど。舞台とお客様との距離も近く、高校生たちの表情や息遣いをリアルに感じることができます。HPFではそれぞれ異なる特徴を持つ3つの劇場で上演を行うことで、3年間で生徒たちは様々な経験を積むことができ、お客様は劇場が演劇にもたらす効果を最大限に感じることができるようになっています。

2026年度も、会場を提供して下さる劇場様、多くの時間を割いて関わって下さるHPFスタッフの皆様、そしてHPFの意義を理解し支えて下さる大阪芸術大学グループ様の存在によって、HPFを開催することができます。HPF実行委員会代表として、また大阪の高校演劇部の一顧問として、生徒たちに公演の場を作って下さったことに心から感謝申し上げます。高校演劇を支えて下さっている方、高校演劇とはこれまで御縁のなかった方、2026年の夏は、HPFという全国で唯一無二の演劇祭とは一体どのようなものかを感じに劇場に足を運んでみるのはいかがでしょうか。現代社会の大変さや日常の忙しさをものともせず、演劇の素晴らしさや演劇でしか味わうことのできない瞬間に真っすぐ向かう高校生と高校生とともに走る顧問の先生、卓越した知識と経験と高校演劇への理解と深い愛情を持って上演を支えて下さる劇場スタッフの方々、そんな最高のチームによって創り上げられる極上の空間が広がっていることをお約束します。

■執筆者
HPF実行委員会代表 大谷高等学校 高杉学

■公演情報HPF2026
7/19(日、一心寺シアター倶楽)関西創価高等学校・北かわち皐が丘高等学校
7/20(月、一心寺シアター倶楽)四天王寺高等学校
7/21(火、一心寺シアター倶楽)渋谷高等学校・池田高等学校
7/22(水、一心寺シアター倶楽)淀川清流高等学校
7/24(金、スペースZERO)桜塚高等学校
7/25(土、スペースZERO)東高等学校
7/26(日、一心寺シアター倶楽)同志社香里高等学校
7/28(火、メイシアター)長尾高等学校
7/29(水、メイシアター)関西大学第一高等学校
7/30(木、メイシアター)豊島高等学校
7/31(金、一心寺シアター倶楽)大阪産業大学附属高等学校
8/1 (土、一心寺シアター倶楽)鶴見商業高等学校
8/2 (日、一心寺シアター倶楽)大谷高等学校
8/3 (月、一心寺シアター倶楽)咲くやこの花高等学校

公式ホームページ
https://sites.google.com/view/highschool-play-festival/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0

各公演予約フォーム
https://forms.gle/hQNNjbsGPWYZhQBXA